「保育園落ちた日本死ね!」の次は「保育園開園中止」/問題の打開策について/高橋コラム

2016/04/13

保育園をめぐる問題が連日後をたちません。匿名ブログ「保育園落ちた日本死ね!」で待機児童問題が浮き彫りになり、保育士・保育所不足への対応が急がれる中、また新しい問題が浮上しました。保育園設置にともなう近隣住民との騒音問題が原因で、千葉県市川市の開園予定保育園の計画が白紙撤回となりました。保育園をめぐる騒音問題は今に始まったことではなく、訴訟や事件に発展したケースも度々耳にします。

SNS等の書き込みをみると、この件に関し賛否両論で、

「保育園の前に住んでるけど、本当にうるさくてイライラする」

「病気で寝込んでいる時ぐらい静かにしてくれよ」

「将来ある子どものためなんだから我慢しろよ」

「子どもはうるさくて当たり前」

「保育園の近くに住んでるけど、子どもの声に元気もらってる」


など、実際に住んでいる人でも意見が大きく異なっています。
筆者自身は賛成・反対の意見を述べるつもりはない(保育園の近くに住んだことが無いので判断できない)が、今後反対住民がネットで吊し上げられる可能性があるので、一言だけ。慣れ親しんだ自分の住環境に変化がある時、戸惑い、不安になり、反発してしまうのは当たり前のことです。静かな暮らしをもとめている人からすれば脅威と捉える人がいても当然です。子どもの声質は高く、子どもの声を不快に感じる割合は35%にものぼるという厚生労働省の統計も出ています。待機児童問題がここまで注目されている今、保育園の必要性は多くの方が感じているとは思いますが、一概に近隣住民を批判するのは間違っています。

ではなぜ騒音問題が発生する場所に保育園を計画したのでしょうか?
近年、保育園を計画するうえで最も難しい課題とされているのが「用地確保」です。空き地ならいくらでもありそうと思う方が多くいらっしゃると思いますが、保育園を新しく計画するうえで、建築基準法や都市計画法など様々な関連法規の基準クリアが必要で、どこにでも設置できるというものではありません。そして園庭や運動場などを設けようとすると広大な敷地が必要となってきます。最近ではビルの中に設けるケースもありますが、ビル全体の設備変更が必要など予算的に厳しいという話も聞いております。

用地確保の打開策はないのか?
子どもの騒音問題などを含む保育園の用地確保への打開策としては、育児助成金白書のベスト育児制度賞でも掲載している「公園内保育園整備」が最善策ではないかと考えられます。来春、東京都荒川区の都立汐入公園に、全国で初めて公園内に保育園が設けられます。都市公園法の定めにより、本来公園内に建築可能な用途として保育園は含まれておりませんが、昨年9月の国家戦略特区の特例措置を受け、建築可能となりました。
公園内に保育園を設けるというのは非常に効率的で、敷地が広いため近隣住民との騒音問題も起きにくく、園庭や運動場を公園と兼用に出来ます。特に都立や県立の公園は園内に道路や駐車場を設けている事が多く、安全性も確保できます。また、広大な敷地を有する公園では多くの園児収容人数も見込めます。

都市公園内の保育所整備は都内をはじめ、大阪府や福岡県内でも計画が進んでいるようです。保育所不足に直面する都市部での特区活用に期待します。


[筆者]
育児助成金白書
育児制度アドバイザー
高橋智也