2025年度少子化対策部門賞

午前7時からの小学校見守り事業

大阪府豊中市 教育委員会事務局 学校施設管理課

大阪府豊中市 教育委員会事務局 学校施設管理課

すべての市立小学校と義務教育学校で午前7時に校門開放し、警備員に加えて、新たに見守り員を配置。
こども園が始まるのと同じ時間から校内で朝の見守り体制を整えることで、さまざまな働き方に対応。

団体紹介

大阪府北摂に位置する豊中市は、郊外住宅地として発展してきた人口約40万人の中核市です。鉄道・道路網や大阪国際空港を備え、子育てしやすさNO.1をめざす教育文化都市です。
R8年度に義務教育学校の庄内よつば学園、施設分離型小中一貫校の千里わかば学園を開校し、発達段階に応じた一貫した学びを推進しています。

なぜこの取り組みを始めたのか?

豊中市では、「子育ては親だけが担うもの」という考え方から脱却し、子育ての社会化を進めるとともに、子育て世帯が「ずっと住み続けたい」と思えるまちの実現を目指しています。その一環として、令和5年9月に「子育てしやすさNo.1」を掲げ、こども施策の充実・強化に取り組んできました。

本事業は、いわゆる「小1の壁」の解消を目的とした取組みの一つとして、令和6年4月に開始しました。こども園等の預かり開始が午前7時であるのに対し、小学校の校門の開門は午前8時であったため、1時間の空白が生じていました。
小学校入学にあたって登校前の受け入れ先がなく、「子どもを家に置いて出勤し、鍵を持たせて登校させなければならなくなった」「朝の開門前から児童が校門前で待っている」といった「小1の壁」に対する声がありました。
こうした状況を踏まえ、保護者の多様な働き方に配慮するとともに、児童の安全を確保するため、小学校の校門を午前7時から開放することとしました。

これは豊中市特有の課題ではなく、全国的に指摘されている「小1の壁」の一例でもあり、行政として制度の狭間に生じていた課題を解消する必要があると判断しました。

活動内容と効果

市立小学校および義務教育学校(前期課程)において、午前7時に校門を開放し、警備員に加えて見守り員を配置しています。
これにより、授業開始までの時間を学校施設内で、天候に左右されることなく安全・安心に過ごすことができる環境を整えるとともに、教員の負担を増やすことなく、登校前からの受け入れ体制を確保しています。

保護者からは「安心して出勤できるようになった」「子どもが一人で待つ不安がなくなった」といった声が寄せられており、児童の安全確保と保護者の就労継続の両立に寄与しています。

受付の様子

▲受付の様子

児童が過ごす様子

▲児童が過ごす様子

見守り場所からそれぞれの教室に向かう児童たち

▲見守り場所からそれぞれの教室に向かう児童たち

これからの展望

今後は、共働き・共育てを応援する観点から、家庭の形や就労形態の多様性も踏まえ、放課後の居場所づくりに関する取組みも含め、時間帯にかかわらず、子どもたちが安心して過ごせる居場所づくりの実現をめざしていきます。

このような取り組みを実施される方へのメッセージ

午前7時からの見守り事業を通じて、「とても助かっている」「万一の時の備えがあることで安心できる」といった保護者の声をいただいています。

日々のこうした声は、事業を継続する上での大きな後押しとなっています。特別な新制度でなくても、既存の仕組みを工夫することで、子育て家庭の安心につながる取組みは実現可能だと感じています。

審査員総評

山縣 文治
  • 審査員長:山縣 文治
  • 大阪総合保育大学 特任教授
  • 働く保護者にとって、いわゆる「小1の壁」の一つが、時間の問題です。放課後の問題については、多くの自治体で、放課後児童クラブ(学童保育)の時間延長が少なくとも6時までとなり、かなり対応力が高くなりました。ほとんど対応されていないのが、朝の1時間です。そこを突破した豊中市教育委員会に乾杯!
島田 妙子
  • 審査員:島田 妙子
  • 一般財団法人児童虐待防止機構オレンジCAPO 理事長
  • 市立校での早朝開放と見守り体制の整備により、多様な働き方に実効的に対応した点を高く評価。不可能とも言われてきた制度であり、今後は安全面の確かな実績を積み重ね、持続可能なモデルとして定着することに期待したい。
LICO
  • 審査員:LICO
  • 作家・ブロガー・子育てアドバイザー
  • 子どもにとっても親にとっても安心できる素晴らしい取り組みだと感じます。安心できる居場所・時間があることは、子どものその後の学校生活や人生にも繋がっていきます。子どもに居場所の空白を作らない、素敵なサポートです。
LICO
  • 審査員:竹田 こもちこんぶ
  • 5児の兄弟の子育てネタでTikTok・執筆など多方面で活躍中
  • こうした学校での見守りが実施されることで、どれだけ多くの家庭が安心を得られるだろうか。それだけ小学生、特に低学年を取り巻く環境は切実である。こうした取り組みが拡がることにより問題が可視化され、更には社会全体で、幼い子どもを持つ親の働き方を見直すきっかけになればと思う。
LICO
  • 審査員:安木 麻貴
  • (一社)日本子育て制度機構 育児制度アドバイザー しんぐるまざあず・ふぉーらむ・神戸ウエスト代表
  • 育休制度が整い、育休取得率がどんどん向上していくなかで、表面化してきた子どもたちの朝の時間の過ごし方。ここを乗り越えることが働いている親にとってどれほど大変だったかと子育て期を振り返っています。地域の方との連携や学校の開放という諸問題を乗り越えたサポート、実践に敬意を表します。
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