2025年度期待の新制度部門賞

共感型SNS「アスリープラス」

合同会社がじゅまるの木

合同会社がじゅまるの木

医療的ケア児の親同士が繋がれるSNS。「支援さがしチャット」は、現在受け入れ可能な事業所のみを自動で提案する。
保護者は“いま、つながれる”事業所に迷わず出会うことができるだけでなく、事業所側も支援できる家庭と効率的につながることができる。
悩みや体験談の投稿による交流コミュニティの役割も担う。

団体紹介

合同会社がじゅまるの木は「親も子も未来を描いて歩める社会へ」を掲げ、家族の笑顔を妨げる壁を壊すミッションに挑んでいます。重度心身障害児・医療的ケア児専門の児童発達支援や放課後等デイサービス、育児と仕事の両立を支える訪問型病児保育事業を通じ、ご家族が安心して歩めるよう全力でサポートします。

なぜこの取り組みを始めたのか?

日々、障害や医療的ケアが必要なお子さんとそのご家族に関わる中で、私たちは一つの重い現実に直面してきました。それは、親御さんがお子さんのケアを優先するあまり、ご自身の仕事や人生の選択を諦めざるを得ないという現状です。

家庭という閉ざされた空間で親と子だけで過ごす時間が長くなると、社会からの孤立感は深まります。福祉サービスや事業所といったオフラインの繋がりの中で、お子さんに関する相談はできても、親御さんご自身が抱える「孤独感」や「心苦しさ」をありのままに打ち明けられる場所は多くありません。精神的な負担が限界を超え、全国で親子心中に至るような痛ましい事件が起きているのも、決して他人事ではない現実です。

私たちは、この状況をどうにか変えたいと強く思いました。
既存の支援サービスだけでなく、同じような悩みや境遇を持つ親御さん同士が繋がり、心の重荷を分かち合える「居場所」があれば、ご家庭はきっとまた前を向くことができるはずです。

「ご家族(Family)の『あす』に、笑顔と安心をプラスしたい」
その切実な思いを形にし、親御さんの心に寄り添うために『アスリープラス』をスタートいたしました。

活動内容と効果

「アスリープラス」は、現在1,300名以上の障害児を育てる親御さんが参加するコミュニティアプリです。ご家族の負担を軽減するため、主に以下の機能を実装しています。

掲示板機能: 同じ境遇の親同士が繋がり、情報交換や相談ができる場。
健康管理機能: お子さんの日々の体調や医療的ケアの記録をサポート。
支援さがしチャット: 必要な福祉サービスをチャット形式で手軽に検索可能。

【効果:孤独の解消とピアサポート(当事者同士の支え合い)の実現】
アプリ内では、当事者にしか分からない深い悩みや相談が投稿されており、それに対して経験に基づいたアドバイスや、日々の生活を楽にするライフハックが活発に飛び交っています。これまで一人で悩みを抱えがちだった親御さんが、安心して感情を吐き出し、互いに助け合いながら課題を解決できる「心理的安全性の高い居場所」として機能しています。

▲『アスリープラス』

▲掲示板機能: 同じ境遇の親同士が繋がり、情報交換や相談ができる場。
健康管理機能: お子さんの日々の体調や医療的ケアの記録をサポート。
支援さがしチャット: 必要な福祉サービスをチャット形式で手軽に検索可能。

これからの展望

私たちのこれからの展望は、オンラインとオフラインの両輪で、ご家族を支える枠組みをさらに広げていくことです。 オンラインでは「アスリープラス」を通じて、全国の親御さんがいつでもどこでも繋がり、孤独を感じることなく支え合える安心のネットワークをさらに拡大していきます。それと同時に、合同会社がじゅまるの木としては、直接手と手を取り合えるオフラインの福祉サービスも引き続き充実させ、リアルな場での繋がりも大切に育てていきます。
デジタルとリアルの両面からご家庭に寄り添うことで、親御さんの心が少しでも前向きになれるように。そして、私たちが掲げる「親も子も未来を描いて歩める社会へ」というビジョンの実現に向かって、これからも歩みを止めることなく挑戦し続けます。

このような取り組みを実施される方へのメッセージ

当事者のご家族が抱える「孤独」や「社会からの孤立」という根深い課題を解決するためには、一つの団体や個人の力だけでは限界があります。だからこそ、新たにこうした取り組みを始められる皆さんの存在は、社会にとって非常に大きな力となります。

私たちが活動を通じて強く感じているのは、「現場にある当事者のリアルな声に耳を傾け続けること」の大切さです。本当に求められている支援は何かを問い続け、時にはオンラインとオフラインの力を掛け合わせるなど、皆さんの持つ柔軟な発想で、ご家族を阻む壁をどんどん壊していってください。

社会を変える道のりは長いですが、私たちは決して一人ではありません。同じ課題解決を目指す仲間として、互いに知恵を共有し、時には連携しながら、支援の輪を全国へ広げていきましょう。

審査員総評

山縣 文治
  • 審査員長:山縣 文治
  • 大阪総合保育大学 特任教授
  • 医療的ケア児支援法が成立したのは2021年。それまで、医療的ケア児とその家族に対する、公的な保育福祉的支援はほとんど存在せず、家族や親族が中心で担ってきました。SDGsが目指す「誰ひとり取り残さない社会」。本人たちの声を集める活動は、結果として、取り残される人を少しでも減らしていく地道な活動です。
島田 妙子
  • 審査員:島田 妙子
  • 一般財団法人児童虐待防止機構オレンジCAPO 理事長
  • 医療的ケア児家庭の切実なニーズに応え、「いま、つながれる」支援を可視化した点を高く評価。保護者と事業所双方の負担軽減に寄与しつつ、交流機能で孤立防止にも資するなど、実効性と継続性を兼ね備えた優れた仕組みである。
LICO
  • 審査員:LICO
  • 作家・ブロガー・子育てアドバイザー
  • スムーズにマッチできるシステムがあることで、ママたちの心の疲弊・消耗・絶望感を防ぎ、「大丈夫ですよ」と受け入れてもらえる安心を作り出すことのできる画期的なサービス。不必要な傷つきを生まないための、優しさの詰まった活動だと感じました。
LICO
  • 審査員:竹田 こもちこんぶ
  • 5児の兄弟の子育てネタでTikTok・執筆など多方面で活躍中
  • 同じ境遇、悩みを持つ親同士が横に繋がりコミュニティを形成し、時にそこで悩みを共有し相談し、助言し合う。こういうコミュニティを作ることが重要かつ孤立の抑止にもなるだろう。SNSを最も効果的に機能させていると思う。SNSにおける社会問題が激化する現代において最も正しいSNSの使い方ではないだろうか。
LICO
  • 審査員:安木 麻貴
  • (一社)日本子育て制度機構 育児制度アドバイザー しんぐるまざあず・ふぉーらむ・神戸ウエスト代表
  • 医療ケアを必要とする子どもは年々増加しているが、果たしてサポートは追いついているのだろうかと考えることがあります。そんななか、民間団体がマッチングシステムというアイテムを用いながら、個人の困りごとの解決や仲間同士のつながりを作っているという点が素晴らしい。皆さんの声をつなげる役目にもなりそうです。
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