2022年度佐賀県ベスト育児制度賞

2022年度佐賀県ベスト育児制度賞

受賞団体

NPO法人唐津市子育て支援情報センター

 

NPO法人唐津市子育て支援情報センター

受賞制度

中学校子育てサロン
地域の乳幼児親子のみなさんと中学生がふれあい交流する機会をもつ中学校子育てサロン。こどもの育ちをまんなかに、生きる力、新たなコミュニティづくりに取り組んでいます。

【コメント】
この度は、光栄な賞を頂きまして、本当にありがとうございます。
大変嬉しく思っています。
私たちは、平成24年度/2012年度から中学校と地域の連携で、中学校内で子育てサロンを開催し、中学生と乳幼児親子がふれあう機会の提供を行っています。中学生にとって、地域の乳幼児親子とふれあう中、命の大切さ・家族・地域への感謝の気持ちを持つことで、自尊感情の高まりを体験し、自己肯定感を高め、また人がつながるこということを実感し、地域つながりのきっかけになっています。また参加する乳幼児の親にとっては、中学生とふれあうことで、自分の子どもの成長のイメージを感じられ、子育ての不安などの軽減につながります。さらに地域を巻き込み、世代を超えたコミュニティの形成を通して地域全体で子育てに取り組む気運の醸成を図っています。学校・家庭・地域が一体となって行う意義を共通理解し、子どもの育ちを支援しています。
公民館、中学校、地域が連携し、動いてくれたことで、中学校子育てサロンの一歩を踏み出すことができました。実施後、先生や地域の方が中学生の新たな一面に気づくなど、さらに中学生と学校、地域の相互理解の促進につながったことなど、成果に結びついた結果、他の地域の方が、自分たちの中学校区でぜひ取り組みたいと地域から学校へ働きかけ、少しずつ実施校も増えてきました。
 主に中学校3年生が対象となり、家庭科の授業を利用し、実施している。また高校でも取り組んでいます。子育てサロンは、1クラスずつ行い、2時限のプログラムで実施し、子育てサロンの事前準備、片付けも中学生が行います。サロンの計画は、中学校、地域、私たちで打ち合わせから行い、地域によって課題がある為、中学校にあわせた子育てサロンを作っていきます。
当日は、中学生が主体となり、先生や地域の方はサポーターとなり、活動を一緒に行います。グループに分かれて中学生と親子が話す時間なども作り、また妊婦ジャケットも着用し、体験等も行います。交流では、オムツ交換やミルクなどの体験もさせてもらいます。教室外での交流活動も大切であり、サロン後は、駐車場まで親子を見送ります。中学生には、事前・事後アンケートを実施し、集計後は、子どもたちの感想等から気になるメッセージがあれば、素早くキャッチし、学校へ連絡し、連携をとっています。
サロン終了後に、中学生がみらいの中学生(赤ちゃん)へ中学生になって読んでもらうタイムカプセルの手紙を書き、参加者の保護者へ渡しています。
コロナ禍前、2019年度、唐津市立中学校全校、県立唐津東中学校、私立早稲田佐賀中学校、玄海みらい学園の23校、44回実施。中学生1,369人、親子1,220人、地域他663人の方が参加しました。
隣接町の公立中学校では、町立保育所と連携し、保育所内で行われている保育参加を中学校内で実施しています。また県内で初めて私立中学校などでも実施し、継続し、多くの評価を得ています。さらに、高校からも依頼があり、高校内でも子育てサロンを行っています。
本市には、7つの離島があり、その内3島に中学校があるが、中学校、行政、地域が連携して、合同での子育てサロンが実施できたことも大きな成果となりました。さらに多くの先生方がこの取り組みを理解して頂き、児童自立支援施設での子育てサロンも実施することができるようになりました。
中学生からは、「赤ちゃんって、あったかい。自然に笑顔になれました。お母さんの話を聞いて、自分や親や家族を大切にしていきたいと思いました。」
中学校からは、「中学生の意識が変わりました。地域活動にも参加できるきっかけになりました。そして何よりも中学校が明るくあたたかくなりました。」とたくさんの声を聞けることができました。
地域の乳幼児親子からは、「中学生から、親に対する本音の気持ちを聞くことができ、我が子が、中学生になった時のイメージが湧き、少し不安がなくなりました。家に居ても乳幼児と二人きりなので、他人と交流ができて母子ともに楽しめました。」また「中学生にとって、大切なことだから続けてほしい」などの感想が多くありました。
子育て中の保護者が地域のこどもを取り巻く環境に関心を持ち、地域ぐるみの積極的な支援が大きな役割を果たすことを実感し母親自身の自信につながっています。
中学生の保護者からは、「中学校子育てサロン後、子どもがこの取り組みを話してくれた。」と親子のコミュニケーションのきっかけのひとつになりつつあります。
そして地域からは、「中学生から地域で、あいさつしてくれるようになったよ。参加することで、中学生、中学校を理解し、中学校を応援していきたい」と地域と学校の新しいつながりの形を生み出すことができています。
中学生に事前・事後のアンケートを実施していますが、中学校子育てサロンの体験を通して自尊感情や自己肯定感が高まってきていることがデータからも見えてきました。このことは、中学校と一緒に行うふりかえりで伝えており、この取り組みの必要性を再認識しています。
中学校子育てサロンから高校子育てサロンまで行うことで、中学生、赤ちゃんがともに成長し、再開し、高校生が自身として成長に気づくことができることも大きな成果です。
 ボランティアから始まった子育てサロンですが、このような成果を認めて頂き、現在は、唐津市教育委員会事業、玄海町教育委員会事業として、また私立、県立中学校は独自予算として実施できるようになり、継続できています。
実施前後の周知広報等にも力を入れています。実施前には、公民館報、回覧板、1歳6カ月児健診での周知や各校区での民生児童委員会議に参加など行い、地域理解につなげています。さらに、SNSやケーブルテレビを利用した広報活動も実施しており、多くの市民・県民・県外の方に、この取り組みを知ってもらうことができるようになりました。
さらに、継続することで、サロン理解につながり、地域の応援者が増えつつあることも感じています。
また中学生が卒業後も地域の中で親子と再会し、交流があった話なども聞くことができるようになりました。中学校もこの取り組みを理解し大切にしてくれていることが関わる中で感じています。このように地域全体で取り組めるようになった中学校子育てサロンです。
さらにコロナ禍時も私たちにできることを考え、ZOOMにて、オンライン中学校子育てサロンを実施しました。親子、中学生の笑顔や感想を聞くことで、オンラインでもつなげることの大切さを実感しています。
これからも地域の現状を理解しながら、中学校、地域とともに、中学校子育てサロンを実施していきたいと思います。
このように受賞できたことも中学校、乳幼児親子のみなさん、地域のみなさんとともに作りあげてこれたからこそだと実感しています。みなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。

【選考理由】
赤ちゃんに触れあう機会が少なくなっている現代の若い世代。赤ちゃんや子どもへの親近感を中学生のころに持てたら将来役に立つ感覚もあるのでは。その他子育ての緊急サポート、子育て相談などを行っている活動は2005年からと長く行っておられ、地域のまとめ役となっている点を評価しました。