世帯

世帯

「世帯」は様々な制度の中でよく使われる言葉です。しかし「家族」と混同したり、父親が世帯主でなければならないという誤った解釈をしがちです。そこで、このページでは「世帯」を詳しく紹介すると共に、世帯分離やそのメリット・デメリットなどを解説していきます。ページ最後のよくある質問もぜひご覧くださいね。

世帯とは

世帯とは「居住と生計をともにする社会生活上の単位」 とされており、同じ住まいで同じ家計という2つを満たした人々を世帯といいます。また、1人であっても自分で生計を営んでいればそれも世帯となります。下の図が分かりやすい事例です。7人が同じ住まいで暮らしています。名字は違うものの、家計(財布)がそれぞれ分かれていれば2世帯。家計が1つであれば1世帯と言えます。

世帯の説明図

世帯と家族の違い

世帯は、同じ住居に居住する個人や家族の集まりですが、必ずしも血縁関係がある必要はありません。
例えば、大学の学生寮に住んでいる複数の学生や、ルームメイトとして共同生活をしている友人同士が一つの世帯を形成することもできます。
彼らは同じ住居を共有し、食事や家事などを共同で行うことがありますが、血縁関係はなくても構いません。
家族は、血縁関係や法的な結びつきに基づいて形成されるグループを指し、親子関係や兄弟姉妹などの血縁関係に基づいて構成される場合が一般的です。
例えば、父親、母親、子供たちが一つの家族を形成することができます。この家族は、血縁関係や親子関係に基づいて共同生活を営み、相互の絆や責任を持ち合います。
多くの制度はこの「世帯」の年収をもとに計算されていて、住民票の世帯主は市区町村からの連絡の対象となっています。

世帯変更届

世帯の構成に変更があった場合は、世帯変更届をお住まいの役所・役場に提出する必要があります。世帯変更届を届け出る必要がある場合は以下の4つになります。

1.世帯主の変更
世帯主が死亡したり、転出などにより世帯に属するものが1人になった場合は自動的にその方が世帯主となるので届け出は不要です。
「世帯主」はこちらで詳しく説明しています

2.世帯合併(同じ住所の2つの世帯が1つの世帯になった場合)

3.世帯分離(世帯の一部が住所を移動せずに新しい世帯を作った場合)

4.世帯構成変更(同じ住所の2世帯の間で人が移動した場合)

世帯を確認するには

世帯の構成を確認するには、お住まいの役所で住民票を取りましょう。個人情報になるので、役所に電話したり窓口に行っても口頭で教えてはもらえません。世帯主を確認したい場合は、請求用紙の「続柄入り」を選んでください。マイナンバーカードがあればコンビニでの取得も数百円で可能(6:30~23:00などの時間制限あり)です。また、マイナポータルでも確認できます。

簡単なようで奥の深い「世帯」についてわかりやすい動画にしましたのでご覧になってください。

世帯分離

世帯分離とは、同一の住所で生計が別となっていることです。近年、世帯分離をする方も多くなりました。世帯分離のメリットやデメリット、申請方法などを分かりやすく解説していきます。

世帯分離のメリット

世帯分離は主に介護の場に用いられます。介護費用の負担の割合は本人の収入か、世帯の収入で決まるので介護世帯と分けることで、経済的なメリットが期待できます。

1.介護保険費用の自己負担割合を下げられる
世帯分離を行い世帯収入を軽減させることで、高額介護サービス費や高額介護・高額医療合算制度が低所得となった世帯に適用されるので介護費用を節約することができます。

2.介護保険費用の自己負担額の上限を下げられる
高額介護サービス制度という、1ヶ月に支払った介護費用が定められた自己負担額の上限を超えた場合に払い戻してもらえる制度があります。こちらも収入が少ない方ほど定額で設定されているので、介護費用を節約することができます。

3.介護保険施設の居住費と食費が軽減できる可能性がある
収入の低い方や資産が少ない方などを対象とした、居住費と食費を軽減できる負担限度額認定制度を受けられる可能性があります。

4.低所得者向けの給付金を受け取ることができる
2023年に物価高対策として実施された低所得世帯へ3万円、子育て世帯には子ども1人あたり5万円を現金給付などの低所得者向けの給付金を受け取ることができます。

5.国民健康保険料の納付金を抑えることができる
前年の所得により、国民健康保険料は算出されるので前年の世帯所得を下げることができれば負担が軽減されます。

世帯分離のデメリット

世帯分離をすることで、逆に負担が多くなることもあるので以下のこともお気を付けください。

1.国民健康保険料が増えるかもしれない
国民健康保険に入っている世帯が世帯分離すると、各世帯主が国民健康保険料を支払うことになるので負担額が増えるケースもあります。国民健康保険料は、お住まいの地域によって異なるので事前に確認することをおすすめします。

2.扶養手当などが適用されなくなる
親を扶養に入れていた場合、その分の扶養手当が無くなります。こちらも会社と相談するなど事前に確認しておいた方がいいですね。

世帯分離の手続き

世帯分離を行うには、役所に世帯変更届(住民移動届)を提出します。用紙は役所もしくは気の利いた自治体であればサイトからダウンロードできますので、プリントアウトして記入しましょう。

【役所への持参物】
・窓口へ行く本人確認書類(マイナンバーカードor運転免許証orパスポートor健康保険証)
・世帯変更届(住民移動届)
・国民健康保険証※加入されている場合
・印鑑
※代理人が行かれる場合は委任状が必要です。

世帯のよくある質問

結婚をしていなくても世帯とされるの?

「世帯とされる」という表現は置いておいて、世帯とすることができます。同じ家に住んで同じ生計で生活していれば、世帯変更届を提出して世帯となることができます。

離婚して実家に帰っている場合、親とは同じ世帯になるの?

基本的に同世帯になります。ただし、別々に収入があって生計が分かれていることを証明できれば世帯分離することも可能と思われます。

夫が単身赴任の場合、子どもがひとり暮らしをした場合世帯はどうなるの?

一般的に単身赴任の場合は戻ってくる前提なので世帯を分けない場合が多いです。特に世帯を分けないといけないという義務もありません。世帯を分けなかった場合、少し面倒なのが選挙の投票用紙が受け取りづらかったり、住民票のコピーが取りづらかったり等でしょうか。子どもさんがひとり暮らしを始めて、学費を親が支払っている場合は同一世帯。就職して生計を立てたら世帯分離をするという形が一般的ではないでしょうか。

関連語句

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非課税世帯給付金

育児制度アドバイザー安木 麻貴

Written by 安木 麻貴

(一社)日本子育て制度機構 / 育児制度アドバイザー
誰も教えてくれない子育て支援制度を分かりやすく子育て世帯に伝えています。高校・大学での講話やyoutubeでも。