安木 麻貴
Maki Yasukiイクハクで働き始めたきっかけ
バブルがちょうどはじけたころ、大学を卒業。社内恋愛を経て、寿退社。3年後子どもが生まれ、順風満帆に行くかと思っていた私の人生。いろんなことがあって、息子が小学校入学と同時に離婚しました。その時36歳。これから先、どうなるのかなあという不安と戦いながら、神戸市内のNPOで働き、高齢者介護と決定の自立、地域支援を学んできました。
離別時、小学校1年生だった息子は大学生になり、家を巣立っていきました。今ではすっかり面の皮が厚くなった私ですが、当たり前の「家族のカタチ」とは違う小学校の入学式の桜の前のふたりだけの記念写真はぎこちないものでした。息子との生活には、一体いくらのお金が必要で、どうやったらこの無職の私が幸せになれるというのだろうか。不安でいっぱいだった私を救ったのが「仕事」と「情報と制度」と「人」でした。
息子にもここで改めてお詫びを言っておきますが、私はいいお母さんではありませんでした。弁当作るのをサボってばかりでごめんなさい。濡れたままの体操服を持たせてごめんなさい。私は完璧な親ではなかったけれど、仲間と出会い、制度を知り、使い、生活を安定させることができました。今も月に一回、シングルマザーの仲間たちと「作りおき料理とおしゃべりの会」という夕食会を地元で続けています。心を開いて語れる場を持てたこと、多くの皆さんの経験を聞けたことはぐらぐらしつつも、なんとか立っている私の「気力」を支えてくれ、高齢者介護に携わることは、未来に向けて、これから何をしなければならないのかを考えさせてくれました。
仲間たちと、ラジオに出演させていただき、そのラジオのディレクターさんがイクハク創設者の浜辺さんを紹介してくれ、イクハクで働くこととなりました。イクハクと私の思いの共通点は、「子育てには協力者が必要ということ」、「悩みは外に出していこうということ」、「制度はツールの一つだということ」です。
私は恵まれていて、「夢みるチカラ」は社会が与えてくれるということをたくさん経験させてもらいましたし、息子は横でそんな私を見てきました。たぶん息子も人と関わることは少し面倒くさいが、社会はとっても親切だということを実感して大きくなったと思っています。そして、今、子育てを終了して言えること、それはとにかく楽しかったということです!
子育て期に関わりが多くなり、磨かれていく育児制度
子育て期間、日本ではとても多くの制度が準備されています。私もシングルマザーとして、子育て期間に、この「育児制度」をフル活用させていただきました。当時はイクハクのようなサイトも無く、全部自分で情報を集めていました。正直なところ、分かりにくく、利用しにくいというのが感想です。いい制度があっても、情報をキャッチすることができずに、使わないまま子育てが終了してしまうこともあります。
今、イクハクで、全国の子育て制度の情報を見ていると、制度は日々、少しずつ変化していくことに気付かされます。困った誰かがアイデアを出し、ルールや制度を作り出し、制度は人が磨いてきました。これまでの「面倒」「わかりにくい」を身近にしたい。私の周りのママやパパたちにもっと制度を使い切ってもらいたいという思いが沸き上がってきます。
これからのイクハク
今の時代、子育ての制度は出来上がっているもの、与えられたものになっています。しかし、今、私たちが支えられている制度はその時、困っていた、難題と戦っていた誰かからの恩恵であり、未来へのプレゼントです。次の世代へプレゼントを贈るためには、いろんな人と意見を交わし、つながることが必要だと考えています。そこで、これからのイクハクはみなさんと作り上げていくものにしたいと思っています。地域の情報を地域の方たちの力で。協力を広く皆さんに呼び掛けていきます。ご参加いただける方、ぜひ事務局までご連絡をください。お待ちしています。制度を主体的に使っていくこと、「支援される」ではない子育てのサポートの形を作っていきましょう!
さいごに
これまで制度や相談窓口は、学校や社会で教えられるわけでもなく自分で調べるものでした。 行政もできるだけ分かりやすく伝えようと努力していますが、年々複雑になっています。イクハクは制度・窓口を受け手目線で紹介しています。ママ・パパの皆さん、イクハクを通じて、まず、制度を知ってみませんか。細かいところまで詳しく覚える必要はありません。こんな制度があるんだということを知ってもらえれば、必要な時に誰かに聞いたり、調べたりすることができます。イクハクをもっと、みなさんに活用していただきたいと願っています。子育てがもっと楽しくなりますように!