【体験談】生活保護 高齢者|恥ずかしいと感じた私が受給を決断した理由
監修者:安木麻貴(社会福祉士)
生活保護や子育て支援制度に関する相談支援の知見をもとに、本記事の内容を確認しています。
この体験談の要約
・「生活保護=恥ずかしい」という思い込みに苦しんだ高齢女性の葛藤
・誰にも頼れず、限界を迎えたときに相談へ踏み出した実体験
・受給後、「生きていていい」と思えるようになった心の変化
体験者プロフィール
・年齢:72歳
・性別:女性
・世帯構成:一人暮らし(子どもとは疎遠)
・地域:大阪府内の団地
・収入:国民年金 月約5万円
・受給額:生活保護 約8万円(年金差額支給)
・状況:夫と死別後、収入減少。持病あり・就労不可
受給前の状況を教えてください
「生活保護だけは、絶対に受けたくない」それが、私の中の強い思いでした。
夫が亡くなってからは、一人でなんとかやってきました。節約すればどうにかなる、そう信じていたんです。けれど現実は甘くありませんでした。
家賃、光熱費、食費。高騰する物価。
年金だけでは、どうしても足りない。
最初は貯金で補っていましたが、気づけば残高はほとんどゼロ。
食費を削り、安いパンやカップ麺で済ませる日が増えました。
夏でもエアコンは使わず、冬は厚着で耐える。年のせいもあってか、体調も徐々に悪くなっていきました。
それでも、「生活保護」という言葉だけは避け続けていました。どこかで、“負けたような気がする”と思っていたんです。
申請のきっかけは何ですか?
ある日、めまいで倒れ、病院に運ばれました。医師からは「このままだと危険です」と言われ、帰り際にソーシャルワーカーの方を紹介されました。
その方に、生活の状況を話すと、こう言われました。
「それは我慢ではなく、危険な状態です」
その一言で、胸の奥に溜めていたものが崩れました。
「恥ずかしい」と思っていた気持ちは、実は“誰にも頼れない不安”だったのかもしれません。
「一度、相談だけでもしてみませんか」
そう言われて、初めて「話を聞いてもらおう」と思えました。
▶ 窓口で困らないために。生活保護の仕組みと申請の流れを完全解説
実際の申請の流れを教えてください
役所に行くのは、正直とても勇気がいりました。
窓口では緊張して、うまく話せない場面もありましたが、担当の方は落ち着いて話を聞いてくれました。
・年金額
・預貯金の確認
・家族との関係(援助できるかどうか)
・健康状態
細かく確認されましたが、責められることは一切ありませんでした。
「今の状況なら対象になる可能性があります」
そう言われたとき、ほっとしました。書類を揃え、数週間後に受給が決定。年金との差額が支給される形になりました。
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受給後はどう変わりましたか?
生活は劇的に変わったわけではありません。でも、「安心」が増えました。
食事をきちんと取れるようになり、体調も少しずつ回復していきました。持病もありますが、気持ちの問題が大きかったのかもしれません。
何より大きかったのは、「明日どうしよう」と思わなくなったことです。
以前は、毎晩お金の心配をして眠れない日もありました。今は、静かに眠れるようになりました。
「助けてもらっている」という気持ちはありますが、同時に「これでいいんだ」と思えるようにもなりました。
「恥ずかしいことではなく、“生きるための制度”でした」
生活保護は、ずっと怖いものだと思っていました。人に知られたらどうしよう、とか、周りにどう思われるかばかり気にしていました。
でも実際は違いました。これは“特別な人の制度”ではなく、困ったときに使っていいものだったんです。
あのまま意地を張っていたら、私は本当に倒れていたと思います。
「恥ずかしい」という気持ちだけで、自分を追い詰めないでほしい。同じ環境で悩んでいる方にはそう伝えたいです。
編集部コメント(社会福祉士より)
生活保護に対して「恥ずかしい」「頼りたくない」という感情を持つ方は少なくありません。
特に高齢者世帯では、その傾向が強く見られます。
しかし、生活保護は憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を守る制度です。決して特別なものではなく、必要なときに利用すべき公的支援です。
高齢者の場合、就労による収入増加が難しいため、早めに相談することが生活の安定につながります。
一人で抱え込まず、まずは相談することが大切です。
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